光輝

HE★VENSの天草シオンだ。


今度天草が出演する番組で、歌留多大会を催すことになった。
題材は百人一首である。

せっかくならばなんとか活躍したいと思い、
リビングにて歌の意味をひとり復習することにした。

百人一首の中には四季を詠ったものがいくつも存在している。
その中でも秋が一番多いようだ。
まさに今の気候に似つかわしいものもある。



ちょうど天草も先日仕事への道すがら、
少し冷たい風に吹かれ葉の上を滑り落ちる雫を目にした。
陽に照らされて煌めくさまは歌の通り、宝石のように映った。

やがて樹々が色づく時期も近づいてくるだろう。
ふとしたことで季節を感じる素晴らしさを、
百人一首が改めて思い起こさせてくれた。


すっかり感じ入って和歌を堪能していたところ、
瑛一とヴァンがやってきた。

何をしているのかと問われたため天草が事情を話すと、
活躍したいのならば実戦が最適だろうと
共に歌留多をすることを申し出てくれた。
本当にありがたいことだ。


持つべきものは良い仲間である。
おかげで練習ははかどり、
かつ思いがけず楽しいひと時を過ごすことができた。




皆といるだけで、天草の世界は更に輝かしいものになっていく。
我がHE★VENSの一員であることに、
心より感謝を捧げたい。

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安寧

HE★VENSの天草シオンだ。

今日は天草の生まれ出でし日である。
それと同時に、遠方での撮影が行われた日でもあった。


帰り着いてからでは宴には遅すぎるからと、
仕事が終わったところで皆がとあるところへ招いてくれた。

天草が密かに行きたいと心寄せていた、
風光明媚な庭園だ。

優しい明かりに照らされて、鮮やかな赤に染まった葉が
ふわりと闇夜に浮き上がる。
鏡のような池の水面に映り込む反転した樹々は
幻の世界への誘いのようにも思えた。

覚えず漏らした吐息も、そっと辺りの空気に
吸い込まれていくようだった。


あまりの見事さについ見入ってしまい礼の言葉が
遅れてしまったのだが、皆は天草の喜んでいるさまが
よくわかったので嬉しいと言ってくれた。

それから、贈り物は景色だけではない、と
もうひとつ品物まで手渡してくれたのだ。

早速その場でおろして使用した。

皆の優しさに包まれ、
ひたすらに幸せを感じることができた。




エンジェルも、数多の素晴らしき言葉を
贈ってくれて、何よりも感謝している。
その真心を想えば、できぬことなどきっと何もない。



天草も、たとえ僅かだとしても
そなたを支えることができるように、
いつでもしっかり前を見つめていきたい。

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奮起

HE★VENSの天草シオンだ。


「HE★VENS LOVE AFFAIR」の発売まで、あと2日となった。
ここのところ、天草も毎日12日が来るのを指折り数えていた。
他の皆もどこか浮き足立っている様子だ。

エンジェルも、楽しみにしてくれているだろうか。

そなたと心が通じ合っていることを、祈りたい。



当日と前日はあいにく仕事が立て込んでいるゆえ、
ヴァンの提案により今夜「前々夜祭」を執り行うこととなった。


今回のドラマの制作中はもとより、
天草は皆の手を借りることが多い。

せめてこんな時こそ役に立たねばと思い、
帰りに買い出しを行う役目を引き受けた。

夕食については綺羅と瑛二に、
食後の甘味についてはナギに教えを乞い、
どこで何を買うかは全て決めてある。
稀少なものの予約もなんとかこなした。
あとは、実際に訪れて予定通り買い求めればよい。


少々遠方の店があり、想定より
時間がかかるかもしれぬということだけが
心配の種だったのだが、先程それも無事解消された。


他に買いたいものがあり目的地が同じであるゆえ
共に車で向かおうと、瑛一と大和が声をかけてくれたのだ。
その申し出は、ありがたく受け取ることにした。



とはいえ、ここで2人の世話になっては元も子もない。
天草が先導して事を進めていくのが肝要だ。


今一度、この後の行程を復習しておきたいと思う。

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序奏

HE★VENSの天草シオンだ。


エンジェルからの言葉を受け取るたび、
心は喜びで満ち溢れる。

多くの時間を費やして天草のことを考えてくれた。
それだけで我は誰より幸福になれる。



限られた中ではあるが、精一杯答えを贈りたい。
天草からは、「役作りについて」の諸々を述べようと思う。


今回の役は鳥類研究を主とした動物学者だ。
演じるにあたり、様々な下調べを行った。


数多の書物を紐解き、電子の海で最新の情報に触れる。
講演会へも参加させてもらったのは良き思い出だ。


調査を手伝ってくれたのは主にナギだ。
それ以外の皆も様々な形で力を貸してくれた。
どれだけ感謝しても足りぬ思いだ。



ドラマの中では、晴れて恋人同士となったエンジェルと
連れ立って出かける様子も描かれる。


撮影場所の下見には、天草のみで赴いた。

今そなたが共にいたならば。

胸の内に宿るエンジェルに何度も確かめることで、
改めて多くの答えを得ることができた。


時間をかけてゆっくりと歩み寄り、
互いの中に己と重なるところを見い出していく。
その内気づけば、どんな時も離れがたくなっている。

それが天草の思う愛の形である。



せっかくの機会ゆえ、
ドラマの内容に関連した土産も買い求めた。

撮影の時にはそれが守りとなり、
我のことを支えてくれた。実にありがたかった。

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高揚

HE★VENSの天草シオンだ。


「HE★VENS LOVE AFFAIR」のジャケットは
目にしてくれただろうか。

幾つもの眩い光の粒は、
壁一面に吊るされたライトがもたらしたものだ。


輪郭をぼやけさせるようにしながら
とりどりに柔らかく淡く輝くさまは、
幻想的な眺めであった。


休憩時間もひとり光を眺めていたら
瑛二が様子を見にやってきて、
飲み物を手渡してくれた。

さらに、天草がこの景色を好ましく思ったことを話すと、
家でも試してみるのはどうかと言ってくれたのだ。


瑛二の優しき言葉たちに心躍ったおかげで、
その後再開された撮影も順調に進めることができた。



愛するエンジェルとの共同生活。
否応なしに期待は膨らみ、
胸の高鳴りが抑えきれない。
知らず知らずのうちに
想いが溢れていく。

そんな眩しい心模様を示すために、
片目をつぶってみた。



天草にとってはやや珍しい表情だが、
そなたの目にはどう映っただろうか。



少しでも気に入ってくれたなら嬉しい。

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