- 【音也】
- もし、立場が逆だったとしても、
俺のパートナーは君しかいないから。
それだけは、覚えといて。
- 【春歌】
- あ、は、はいっ!
わたしのパートナーも一十木くんだけですっ!
- 【音也】
- うん。
あのさ、手、繋いで帰ろうっ!
- 【春歌】
- あっ!
一十木くんが強引にわたしの手をとって
歩き出した。
一十木くんが強引にわたしの手をとって
歩き出した。
外に出ると、雪がしんしんと降っていた。
わたし達は肩を寄せ合い、
大きめの一本の傘を共有した。
聖川様が手をぎゅっと強く握った。
那月くんが、那月くんが目を覚ました!
良かった。本当に嬉しくて、
涙で、視界がかすむ。
那月くんはひどく衰弱しているようで、
起き上がれそうになかった。
そう言って、微笑む一ノ瀬さんは
とても晴れやかな顔をしていた。
しょ、翔くん……。
何を……。
えと……。
その…………。
は、初めてのキスだけど……。
相手が……翔くんなら……。
ぎゅっ、と。
翔くんがわたしを強く抱きしめる。
その時、クップルがひと鳴きして、
わたしの肩に飛び乗り、唇にキスをした。
すると、クップルの姿が見る間に変化し、
同じ年頃の男の子になった。
青く澄んだ瞳。
浅黒い肌。
彫りの深い顔立ち。
艶やかな髪。
その人は、アラビアンナイトに出てくる。
王子様のようだった。