
わたしの靴と、音也くんの靴を波のこないところに揃えて置いたあと、
わたしは恐る恐るつま先を水に浸けた。
- 【春歌】
- 「ひゃっ。つ……冷たい。
あ、でも、慣れると気持ちいい……かも」
- 【音也】
- 「でしょっ!ほらっ!春歌。こっちこっち!早くおいでよっ!
一緒に走ろうぜっ!あははははっ!」
音也くんが楽しげに波打ち際を駆け出した。
寄せては返す波、迫ってくる波から逃げるように走り、
引いていく波を追いかけるように歩く。
わたしの靴と、音也くんの靴を波のこないところに揃えて置いたあと、
わたしは恐る恐るつま先を水に浸けた。
音也くんが楽しげに波打ち際を駆け出した。
寄せては返す波、迫ってくる波から逃げるように走り、
引いていく波を追いかけるように歩く。
すっと肩を抱き寄せ、そのままご自分の胸へとわたしの頭を導いた。
わたしを抱きしめ、空を見上げながら一ノ瀬さんがぽつりと呟いた。
椅子を鳴らして立ち上がり、感情的に反論する。
真斗くんがわたしの肩を引き寄せて断言する。
なんだか眠たくてよく聞こえなかったけど、確か食べるって……
わたしは半分寝ぼけながらぼーっと何かを呟いた。
耳元で囁き、わたしをそっと抱き上げると
ベッドに横たえ、天井を指差す。
天井にたくさんの星が映し出されていた。
たぶん、どこかの海辺の夜の風景。
キレイな写真が、白い天井に投影されて
まるでプラネタリウムみたいにたくさんの星が見えた。
ピンポイントでわたしのベランダに紙飛行機を入れるのは難しいみたいで、
下の路地にたくさんの紙飛行機が落ちていた。
紙飛行機を飛ばしていた翔くんと目が合った。
その瞬間、翔くんが思いっきり空へ向けて紙飛行機を投げる。
空へ飛んで行きそうなまでに高く高く飛び上がった紙飛行機はゆっくりと落下して、
わたしの手の中に収まった。
そこに書かれていた文字は……。
一も二もなくセシルさんは頷いた。
わたしたちは、お互いの鍵を交換した。
よく似た形に鍵に、猫のキーホルダーがついている。
キーホルダーについた鈴がちりんちりんと澄んだ音を立てる。
楊枝で突き刺したたこ焼きを口でふーふー冷ましてわたしにくれた。
わたしの肩を抱き寄せ、カメラに向かって
ピースしている先生は自然体で。
いつも見ている雑誌のグラビアとは違う顔をしていた。
いつの間にか、シャッターを押し、
先生がわたしを撮ると、悪戯っぽく微笑んだ。
その笑顔にドキっとしてしまう。
救急箱から消毒液を取り出し、手当てしようとした瞬間、
先生がわたしをぎゅっと抱きしめた。
唇を震わせ絞り出すような声で言う。
先生が何を言っているのかわからなかった。